管長の修行問答

2013.12.01

親子の情

養子は実子として育てるも全てをオープンにするがよい

晩婚にて子どもを授かる可能性が低いです。子育てに憧れております。里子なり養子なり、育てるとしたら、どのような点に注意が必要になってきますでしょうか?(東京・Y)※本問答は2013年12月・330号のものです。

「もらい子」をするのは良い事である。施設で成人まで暮らさなければならない子は、一生心に淋しさを背負い続ける。それを救済する意味に於て、若い二人が愛の手を差しのばしてあげることは素晴らしいことである。何より、当の二人にとって、親となる代えがたい経験を成すことが出来、これ以上のことはない。

実は、戦前の日本では、もらい子は多くあった。家庭の事情で育てられない親が裕福な家にその子を預けたのである。勿論、そういう親は断腸の思いであったことは想像に難くない。しかし、結果として、貧乏な中で性格が歪んでいったり、生活苦に喘いだ子どもたちよりも、もらわれた子たちの方が幸せとなった例は多いのである。

彼らが不幸になるのは、その出生の秘密を知ったときであった。そういう意味では、今どきは簡単にそれがばれてしまうので、養子縁組をした際には、誰にも隠すことなく、オープンにして育てる方がいい。と言っても、やたらと言いふらす必要はない。特に子どもというのはそういうことをいじめの対象にするから要注意である。その点だけ注意すれば、あとはオープンに明るく、愛情たっぷりに育てれば子はスクスクと育つものである。

一番悪いパターンは、大きくなって本当のことを教える場合だ。その時には必ずといっていい程、皆不幸になっているので、初めからオープンにしている方がいい。あとは実子と何ら変わらずに深い愛情で育てることだ!