管長の修行問答
2008.08.20
気付き
気付きは匹夫の理解から聖人の悟りに至る
- 気付きの正誤の判断の仕方をお願い致します。
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正しい気付きは、正しい心の持ち主にしか現われない。
日常の生活に問題がある者に、正しい気付きは生じない。
自己を犠牲にできない者に、正しい気付きは生じない。
礼儀を知らない者に正しい気付きは生じない。
情が薄い者に正しい気付きは生じない。過食者に正しい気付きは生じない。
裏表のある者に正しい気付きは生じない。
日常会話で他人の陰口を言う者に正しい気付きは生じない。
家族を愛さない者に正しい気付きは生じない。
お世話になった人と恥ずかしめを受けた人に感謝しない者に正しい気付きは生じない。世界を知らない者に正しい気付きは生じない。
自己に厳しくない者に正しい気付きは生じない。
心静かに自己を見詰めることのない者に正しい気付きは生じない。
他に影響される者に正しい気付きは生じない。清濁を併せ呑む者でなければ正しい気付きは生じない。
知識よりも直感を愛する者でなければ、正しい気付きは生じない。
全方位に対応できる者でなければ正しい気付きは生じない。
他を愛すると同時に孤独を愛する者でなければ正しい気付きは生じない。
生き死にを超えた者でなければ正しい気付きは生じない。斯くの如き者でなければ、真の気付きは生じ得ないのである。
而して、その様な者には日常茶飯の事象を通して気付きが生じることになる。気付きは、匹夫の理解から、聖人の悟りまで、その範疇は広く、上下は限りない。
たとえ匹夫と雖も、その瞬間に我執が弱まれば、その「欲」に応じて低次元の気付きが生ずる。
これが例えば新しい製品の開発につながったりする。
これも気付きの一種である。
この種のものは、誰しもに生ずるが、真理と呼ばれる領域に入ってくると、上記の境地者でなければ把握しがたい。