管長の修行問答

2024.03.03

苦悩と現実

自然の中で豊かな感受性に目覚めることが出来ると改善する

日々現実に向き合い生活している中で、否が応でも悩み苦しむことは生じます。苦果を得て苦しめば、その因は果たされ終わるものと思いますが、と同時にまた何らかの悪因を積んでしまうのが私たち凡夫であり、果てしない苦のサイクルからなかなか抜けだせません。その悩み苦しむ際に、その苦しみ方にも、より向上に向かう苦しみ方があるのでしょうか。単に自分のことだけに終始したことを思い煩う苦しみと、他のためを考えるがゆえの苦しみとでもまた意味合いが違ってくるものでもあると思いますし、その時に自分がどのような念を持つかということも大きく作用すると思います。できるだけより向上へと向かうためには、悩み苦しむ際に、どのような点を心がける必要があるのか御教示いただきたくお願い申し上げます。 (東京・K) ※本問答は2019年10月・400号のものです。

自分に執着しないことである。ただそれだけである。下らないプライドが我を出し続ける人はそのプライドを理性で分析し下らないことに気付くことである。その上で自観すれば大いに消え去っていくだろう。何より相手に不快の念を出し続けることが一番の悪因となるので注意しなくてはならない。一方、やりたいのに出来ない症候群の人たちの苦悩は並大抵ではない。努力する気はあるのに出来ないからである。やろうとしても何からやればいいか分からないからである。そのうち自己嫌悪や自信喪失やイラ立ちへと変わっていき、何も達成出来ないままに無駄に人生を過ごしていくことになる。

そういう深刻なタイプは次の手順を踏むとよい。

①一旦何もかもを白紙(ゼロポイント)に戻す

②先ずは健全な身体へと肉体改造する

③身体改造に伴い人生計画を立て直す

④自分に必要な勉強を初歩から始める(絶対に初歩以外をやってはいけない)

⑤初歩を毎日やり続ける

⑥5日努力したら2日全てを忘れて惚ける

⑦自分の夢を楽しく確認する

⑧毎夜自観法を行ない眠る

⑨禅定を実践する

⑩自分は神によって導かれている、と確信すると良い

苦は常に自分で作りだしているものなので、その原因は自分が一番分かる。その原因を放擲してしまえば済むことである。つまりは諦める。ただし前向きに諦観するのである。その為にも身体にある程度の負荷をかけて動かす必要があり、自然と触れることが要求されてくる。思考に陥らず豊かな感受性に目覚めることを心掛けると良い。