管長の修行問答
2022.10.01
依存症
どんなこともその対象から逃げることなく責任を負うこと
- 依存症になる人は現実からの逃避があるから、現実の生活を充実させ人から評価されなければならない。以前の観相で、そのような御話があったと理解していますが、今回も依存症についての御話があり、先生が依存症について大変心配しておられることが伝わってきました。しかし、他人からの評価を受ける事は大変難しいと感じています。依存症にならないための具体的方法を学べたら幸いです。(山口・M)※本問答は2021年10月・436号のものです。
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いつも述べているように依存は自己確立が出来ていないことを意味している。もし自己の概念をより高い次元に置くならば、そういう場合は自我確立という表現になる。自我を通常の自分とし、自己を超越した意識と考える場合である。しかし、自己確立という言葉が一般的なので、この場合は自己として説明しよう。
すべての人に基本原理が働いていて、幼い時に自分で何でも出来る、という意識を形成仕得ることが出来たか、という一点において自己形成の有無が語られることになる。親より何でも自分でやることを学んだ子は自己確立が容易であるが、いつまでも親が面倒を見ていると子は子どものまま成人し依存者となる。しかしその場合でも、どこか厳しいところで徹底的に鍛え直してもらえば、自己確立も可能であるので諦める必要はない。大事なことは他者に依存しない生活の実践が一番である。幼い時は親兄姉に依存しその後は友人に依存し、会社に依存し、結婚すれば配偶者に依存し、子が出来ると子に依存する。これではこの人物は一生自己と出遇うことなく死を迎えることになる。
依存症から具体的に抜け出す方法は第一に経済的自立である。第二に仕事の責任を自分が負うこと。第三に他者へ責任転嫁しないこと。第四にただ指示に従うのではなく自律的に仕事をすること。第五に心身の自己管理をすること。第六に自分に必要な努力を毎日コツコツと続けていくこと。第七に心に余裕を持つこと。第八に他者を許すこと。 以上の八項目を自覚的に実践していくならば、必ず依存症から抜け出すことが出来る。自己確立の実践である。いかに能力があろうとも他者に依存している限り、その能力は充分な成果へと繋がらない。その状態では他者からの評価もなかなか得られにくいものである。
もし可能なら、一週間のスケジュールサイクルを作り、その予定通りに生活してみると良い。それは適度な自己管理となり、精神的自立への大きな力となってくれるだろう。出来ることも出来ないことも、先ずは自分の責任のもとできちんと向き合い逃げないことから始めることである。