管長の修行問答

2022.08.01

子どもの精神

素直な良い所はそのままに物事をやり遂げることで成長する

私達大人は、どうして大人になれずに、 子どもの精神状態のままで、来てしまったのでしょうか?(栃木・T)本問答は2022年6月・432号のものです。

全員ではないが、そういう人が多くなった。特に日本人には童顔のまま成人になっている人が多い。世界中探しても四十代なのにまだ十七歳にしか見えないなどという幼稚性は日本人以外にない。それは、戦後の日本人が謬あやまった教育によって成長したことを意味している。

子どもの精神には大きく二つある。

一つは、童心を忘れない、というものである。この人物は心優しく子どもの心情もよく理解でき、欲望よりも心の豊かさを求めようとする。いい年をしてプラモデルに夢中になっている大人といった類がその典型である。

他方、本当に幼稚な心のまま大人になってしまっている人がいる。いまの日本人の半分がその傾向にあるように思われる。その人たちの特徴は見るからに大人顔をしていないことである。どっしり感がなく、そのくせ自己主張だけは異常に強い。決してウジウジすることもなく溌溂(はつらつ)と生活している者も多い。精神性は依存者である。

その様な彼らの精神性が大人であることはない。人種の違いなどもありそこには多少の差があるとしても、極端に子どもに見える人たちは、自分の幼稚性に気付かなければならない。彼らに共通することは「責任転嫁」である。何らかの責任を自ら進んで負うことが出来ない人たちである。そのような場面では「自分は悪くない。他者のせいだ」と言うか、「不貞腐れる」か「泣き出す」かである。

これらの子ども精神の大人たちは子育てもきちんとすることが出来ず、不安定な子に育ててしまいやすくなる。いつまでたっても自分のことしか頭にないからである。大人と子どもの違いは、他者のことを考えているか自分のことを考えているか、その比重の差によるものである。

子ども精神は常に自分のことを優先的に考え、責任問題からは逃げ、楽しいことに夢中になるか、現実逃避して社会人として成長しない方向へと進んでしまう。常に他者に依存している。また、激しく他者に怒りを爆発させる。

ではどうすればそこから脱出できるかは「自信」を身に付けることが重要である。その為には何事かをやり遂げることがきっかけとなる。他者の評価につながる自分のやるべき事をきちんとやり遂げるまで絶対に諦めないで続けることである。そしてどの過程においても責任を他者のせいにしないこと。どんな事でも良いので、いまやるべき事を最後まで一人でやり徹し成果を出してみると良い。そうすれば次の成果へと続き、遂に自信と共に大人となる。