管長の修行問答

2021.09.01

親孝行

晩年の両親には出来るだけ回数多く顔を見せてあげること

親孝行について質問させて頂きます。私の両親も高齢となり、田舎で会うたびに年を取ったことを感じております。母はその度に私の好物を用意してくれ、父は私の仕事の事や将来の事を語ります。あらためて、孝行出来る両親が健在である事は恵まれたことであると感じており、今は出来るだけ親孝行をしたいと思っております。そう遠くなく、必ず別れの時は来ると思いますが、それまでは出来るだけ元気で過ごしている姿を見せたいと考えております。その時を迎えた後は、日々感謝し、私達が生涯、霊として向上して行くことが恩に報いる事に繋がって行くと思っております。その様な考え方で宜しいでしょうか。(東京・S)※本問答は2021年9月・423号のものです。

孝行は第一に回数多く顔を見せてあげることである。それが何にも増して親が喜ぶことである。親孝行したい時には親は無し、と昔から川柳に詠まれてきた様に、やっと自立して一人前となり親に会わせられる自分になったと思った時に親を失い、何の孝行も出来ずに別れなければならなかった子は多い。幸いあなたは、そうではないようなので、この調子で毎年親元に帰り、出来れば年二回戻るようにして、数日滞在して一緒に出かけたり出来たならば素晴らしい子どもである。

もしあなたが通勤圏内に親を持つ者であるならば、ある年齢に達した時点から毎週一回は顔を見せに立ち寄るようにすることである。仕事の帰りに三十分顔を出すだけでもいい。兎に角、顔を見せてやることだ。遠距離の人たちは、せめて年一回は里帰りをするように。出来れば二回やりなさい。親はもうすぐにあの世へ旅立つからである。

そして親の家へ行ったら仏壇に手を合わせなさい。もし仏壇がないようなら買ってあげることだ。先祖と繋がることは大事だ。先祖なくしていまの私の存在はない。その事を思えば先祖にお礼も言えない家であってはならない。その先祖との細い糸こそがあなたを支え、あなたに勇気を与え、あなたの艱難からあなたを救い出すのだ。

そして日々を誠実に生きなさい。コツコツと生きなさい。他者に心配れる人となることである。隣人を己が家族のように思うならば、何事もスムースに流れるようになる。

母親には世話になったお礼を沢山言ってあげることだ。

父親には自分が如何に立派になったか、一人前になったかを語ってあげるといい。親は無償の愛をもって子を育てる。あなたもその恩に報いて、無償の愛をもって両親へと感謝と愛を返すのである。神はその姿をご覧下さってある。