管長の修行問答

2014.11.01

高齢者社会

一に健康、二に健康、楽しく運動し刺激ある生活を送れ

高齢化が進む現在、六十五歳以上の高齢者数が総人口の二五・〇%となり、国民の四人に一人が六五歳という時代を迎えました。介護であったり、長年の住処を離れ、グループホームや高齢者住宅の選択、といった身近な周囲の現実を目の当たりにし、これから高齢となる者達への心構えについて御教え戴ければ幸いです。(東京・Y)※本問答は2014年11月・341号のものです。

高齢者とは老人のことである。老とは偉大であり尊敬に値する人のことである。先ずはその事を念頭に置くことが先決である。果たして自分は尊敬されるに値する人間かと問わなければならない。尊敬される人物とは物事の本質についてよく洞察する力が有ることを意味する。さらに、優しく勇気が有り、謙虚でもある。この四つの条件を身に付けているならば、あなたは老人と呼ばれる資格を有する。この資格を有しない人は、只の高齢者である。

問題はこの只の高齢者たちである。この人たちは往々にして社会へ依存するだけの存在へとなり易い。日本人は世界最高の寿命を誇るけれども、健康年齢との乖離は著しく、実際の寿命の十年も前から寝たきりになってしまう人が多いのである。これでは寿命が長いことは寧ろ災いということになり、当人たちもそれまで積んできた徳をこの十年で使い果たしかねない危機を、迎えるのである。

高齢者になるということは、一にも二にも健康で生活できることを第一義とするものだ。その為には、意識して体を積極的に動かすことである。単に歩くだけではなく意識して重い物を持ったり動かしたりする筋力運動をする必要がある。寝たきりの大半は、脚や腰の骨を折った人が多い。それを回避する為には、若い時から骨を鍛えておかなくてはならない。それには骨に負荷をかけることが一番である。跳んだり跳ねたり重い物を持ったり、走ったりすることを常日頃、心がけた生活をすることが重要だ。

更に、ボケない為には、常に脳に刺激を与え続けることが大事だ。それは趣味でも好奇心でも何でもいい。出来ればワクワクするのが一番いい。いま時はゲートボールやダンスや大学の市民講座なども盛況だ。大いに結構である。

また独身者より同居者がいる人の方が元気で長生きというデータもある。更に、高齢者の二人に一人が癌になる時代である。初期の発見なら手術をすることなく治せる時代になった。毎年の定期検診を欠かさないこと。

年金生活に入ったら、若い時以上に外に出、派手な服を着て、明るく社会に関わっていくことをモットーとするとよい。あとは私の講話をよく読むことである。