管長の修行問答

2014.07.01

ディベート力

毎日一時間自分と正反対の意見を論理的に言い続けよ!

①社会で働くようになり、自分の考えや感じていることを言葉にして誤解なく伝える術に長けているか否かは、特にビジネスの世界では生命線だと思うようになりました。この能力をいつ身に付けるかといえば、やはり親子の会話だと思います。私は親と、あるテーマについて議論を交わすようなことをしてこなかったから苦手なのだろうと思います。意見を否定されるとすぐに萎縮しますし、反発してしまいます。おおむね日本人は苦手な能力だとは思いますが、どうしたらこれからでもこういった能力が身に付きますか?
②また子供にはどんな接し方を心がけたら能力を伸ばしてあげられるでしょうか?(東京・U)※本問答は2014年7月・337号のものです。

子供の時から訓練しておかないとなかなか難しい。世間を見ていて分かるのは、一流大学の学生の方がそうでない学生よりも苦手にしていないと見える。それは、一流大学の学生の方が、単に知識が有るだけでなく、不断に思考する習慣が有るからだろうと思われる。

一方、よく喋るというタイプで、頭の回転が良く、自分の意見を他者に伝えることを苦にしない人も多い。彼らは必ずしも論理的ではないが〝勢い〟で相手を制して行き議論に打ち勝ってしまうことは多い。客観的にはその結論は悲劇的ではあるが、勝った当の本人は、ご満悦ではある。

あなたは親と議論をしてこなかったから苦手と述べているが、それは違う。あなたに「考える」という習慣が欠落していたから苦手なのである。瞬間瞬間の場当たり的な思考は得意でも、何かについて論理的に思考していく訓練をしていないのである。勿論、親が子育ての時にそういった問い掛けを繰り返していれば、確かに違っていただろう。しかし、それが決定的なことではない。

あくまで個人の資質が大きく関わってくることである。とは言え、アメリカ人や中国人などと接すると分かるが、彼らは実に煩(うるさ)い。騒音的である。そういう気質は民族的であり、日本人の敵わない所だ。

身に付けるには、何かのテーマについて一時間位論理展開をする訓練を「毎日」することである。その論理は自分とは全く異なる意見を主体にその論理展開をしていくことに主眼を置くといい。その習慣を身に付ければ、それまで見えなかったものが、見える様にもなってくるだろう。


②子供には大人と接する様に接することである。そして子供の質問に対して自然科学的論理手法で回答することだ。何も反応しない子には、自然の不思議を直接見せ手に触れさせ考えさせ、そして走り回らせることである。