管長の修行問答

2013.03.01

供養の期間

あなたの好きな期間祀った後に遺影は壁に掛けるとよい

先祖代々まつっている家もありますが、故人の遺影はいつまでまつれば良いのでしょうか。(大阪・U)(30代 コンピュータ関係)※本問答は2013年3月・321号のものです。
滅亡はさておき、今回の地震と津波は世界人類に共通した何かをメッセージとして伝えているようだ。

これは難しい問題ではある。その当人を知る者が生きている間とする家もあれば、何世代にも亘って掲げている所も多い。古くからのものを掲げている家には名家や旧家が多く、それはそれで時代を感じさせ悪くないものだ。その典型が歴史上の有名人の写真である。余程の極悪人でない限り、それを誇りとし、皆の目につく所に飾っているものである。それを思えば、先祖の遺影を大切にするのはいい事である。

但し、仏壇に祀っている場合は三年から三十年程の間に桟(さん)などの上に大きな印刷にして飾ってあげるとよい。

この遺影には本人と遺族なり子孫とを結ぶ窓口となってくれる役目があるので、時々、話し掛けたくなる様な人には日頃の力添えになってくれるに違いない。

つまり、あなたの意識の中に、供養するということと、単に飾るということの区別が明瞭に出来ていない様なので、先ずは、その違いを意識することが大事である。その上でいつまで供養し、いつから部屋のレイアウトの一つにするかの「日」を決めてしまうと良い。

生前、立派な生き方をしていた人たちなら、死後三年程すると一人前の霊になるので、その頃を境に写真の位置を替えるのは手である。

また、こういう霊は、それ以降は子孫の守護霊ともなれる様になるので、自分を守ってくれる為にも写真を見上げて毎晩一言、二言声をかける位の事は大いに結構である。きっと、あなたを陰から守ってくれるに違いない。

ところが、中には、悲しくて、遺影に縋(すが)りつき、毎日毎時何年も何年も泣き続ける人がいるけれども、これは絶対にやってはいけない。これをしていると、あの世へ行かないといけない死者が、幽界にとどめ置かれて、いつまでたっても霊界に入れず、遂には浮遊霊となってさ迷うことになってしまうことがある。遺族はいつまでも悲しんでいてはいけない。どこかで割り切り、どこかで立ち直っていかなくてはならないのである。

これは生前に於てもよくあることで、男に捨てられた女性がいつまでもその男を怨み続けて、共に不幸になるなどというのも霊的作用の一つである。 生きることは執着を捨て去ることである。決して冷たくてはいけないが、愛情少なきは許されないが、しかし同時に捨て諦めていくのも人生の一側面である事を悟られたい。