管長の修行問答

2009.12.22

友達作り

学生の時にこそ肝胆相照らす真の友を作ること

学生の自分には親友は少しだけいますが、多くの友達はいません。どちらかと言うと孤立している方です。多くの人と仲良くしたいと思うのですが上手くいきません。自分自身の問題点も少しは分かっているのですが、はっきりは分かりません。御指導頂けたら嬉しいです。 (学生 10代)

学生の時にこそ肝胆相照らす真の友を作ることである

現代人は、昔に比べて明らかに友人を作らなくなった。
それは、幼少の頃より、地域の子ども達が集まって遊ぶ習慣が薄れてしまったことが、一番の原因である。
その結果、どうやって付き合えば良いのか分からなくなったのだ。

しかも、その母親が傍目を気にし過ぎたり、逆に気にしなさ過ぎたりという極端な傾向を示すようになり、その結果として、子は、周囲の子たちとうまく付き合えなくなってしまったのである。
要するに、母親の社会性の喪失が、大きく関与しているということである。

一方、家庭内には、テレビゲームに代表される仮想世界が充実するようになり、昔なら青瓢箪だけが浸っていた小説の世界が、誰しもに出現するようになった。

さらに、それに拍車をかけたのが、少子化現象だ。
教育の現場は、お山の大将の存在を拒否するようになり、不自然な平等意識を強要する余り、それにより抑圧された子ども達の意識が、物言わぬ子へのいじめへと転じていった。
それが、平成という時代である。

友人を作ることは、昔と比べ、明らかに難しい。
お互いの家を自分の家のように往来出来たのは、最早、語るには古すぎる。
斯く、時代背景がそうさせているのだ。

では、あなたはと言えば、それは、あなたが優れた感性を持ち併せているからに違いない。
要するに、周囲の者が物足りないのである。
周囲の者が興味を持つことに、あなたは持てないのである。
それは、あなたが彼らより、知的レベルか或いは感性が、優れているからであるのだ。

昔から、百人の知人より一人の真友という。
あなたにも親友がいるのなら、それが真友であることを望むことだ。
そういう付き合いをすることである。
数多く友人がいることは素晴らしいが、一人、自分の全てを理解してくれる真友がいてくれることは、それ以上に素晴らしいことである。

さて、では、あなたが努力すべき事は何か-と言えば、いまより更に、自己主張することである。
やりたい事、興味のある事、憧れ等々を、真正面から友人に向けてぶつけていくことである。
学生時代にこそ、それは可能であるのだ。
社会人になってからは、そういう言動は難しい。
大人になってから真友を作るのは極めて困難である。
出来得るならば、学生時代に、肝胆相照らすことが出来る真の友を見出すことである。