管長の修行問答

2009.07.18

苦悩の享受

日常の不幸を楽々と受け止めるには

日常の不幸を楽々と受け止めるコツがあれば、御教示下さい。(主婦 30代)

何も考えないでスポーツや労働や趣味に没頭するとよい

これまで出来ない者が、突然楽々と受け止めることなど、出来るわけがない。
そんなに人生甘くはない。
コツはいくらでもあるが、それを使いこなせるようになるには、それなりの修行が必要である。

人間というのは、その為に、子供から大人へと成長するのである。
この成長過程をきちんと踏んでこないと、大人になっても自己制御が出来ず、苦悩に出遭うと右往左往してしまう。
学校を通して、子供が社会を学ぶのは、大人になってから支障が出ぬためである。
いつも逃げてきた子供は、大人になってから苦労することになる。

さて、コツは、丹田呼吸を只管やることである。
毎日、1時間やりなさい。
そうすれば、3ヵ月後には、かなり違っているだろう。

ところが、1時間を3ヵ月続けられる人は、いないのである。
しかし、3ヵ月にとどまらず、その後、3年程は継続する必要がある。
そうすれば、それなりの器の大きな人物へと変身しているだろう。

基本的には、改造講座があるのだから、自観法を始めとして、夫々の実践法をやっていけば、日常的不幸位は、楽々と受け止められるようになるはずである。

例えば、女性は苦しい事があるとすぐに涙を流すのであるが、その涙の量が多ければ多い程、その悩みや苦しみは楽になるのである。
実態は何も変わっていないのに、変わったような錯覚に陥るのだから、不思議である。
この様に、実に、人の悩みというのは、自分の思い込みが大半であることを、知る必要がある。
事実は事実として受け止めなければならないが、その一の事実を二にも三にも、十にも百にも感じるのは、その人のメンタリティの問題である。

あなたも、小さな事にこだわりすぎる自分に早く気付きなさい。
誰も気にしない事を、自分一人気にして、あたかも命を失なわんばかりに思い悩むのは余りに愚かである。

あなたは、一を百と勘違いする典型的なタイプである。
そういうタイプに共通するのは、太陽に当たらない傾向にある。
そして、運動を全くやらないものだ。
あなたも、もっと体を激しく使うことをやると良い。
土方のような仕事が、一番良い。
農業のような畑作業も良いものだ。
日曜大工や、趣味に没頭することも、大変有効である。

要は、外に向かって、エネルギー(気)を出すこと。
決して、内に向かって出してはいけない。要するに、すぐに考え込まないことである。
あなたの最大の欠点は、すぐに考え込むことだから、考えないに徹するのが一番のコツである。

好きな子とデートしたり、映画を観たり、買い物やぶらり旅行なんてのもいいものである。
上手な「気分転換」を心掛けられるか否かだ。