管長の修行問答
2009.07.17
巣立ち
子供が成人する時の心構え
- 成人を迎える子供に、親がすべきことはありますでしょうか。巣立ちの時の心構えのようなことがありましたら御教示下さいませ。(鉄道関係 40代)
-
何より親が子離れをきちんとなすことが良き巣立ちとなる
成人を迎える迄に、親がやる事は、山とある。
しかし、成人を迎える時に、親がやるべきことは限られている。子が男ならば、母親は、何も言う必要はない。
父親は、これからの生き方を示してやる必要がある。子が女ならば、父親は、ただ信じてやること。
母親は、これからの生き方を教示してやる必要がある。その上で、共にやるべき事は、社会通念とは何かを教えてやる必要がある。
一社会人として、隣近所の人との付き合い方、学校や会社での生き様、戸籍や家の謄本など、「法的日本人としての形」を教える必要がある。それぞれの子に対して、その子の持つ特性に合わせて、如何にすれば、その特性が活かされるか、社会で通用するかを説明してやることだ。
もし、本人に、しっかりとした人生目標が定められているのなら、その達成の為の最短コースを示してやることである。人生であれ何であれ、いかに効率良く動くかということは、大事である。
特に、子を出世させたいと思っている親なら尚更、効率の良い生き方を示してやっておく必要がある。
しかしそれは、親自身が、行動を以て示してやるべきことで、口で説明して分かるものではない。その意味で、巣立ちは、その時にやってくるのではなく、乳児の時から既に始まっているということである。
その巣立ちを、最上の段階で迎えさせる為に、親は自分の出来る限りの智慧を、子へと授けんとするのである。
その結果、大半の親は押しつけとなり、子を偏った考えの人物や、我が儘な人物、気弱な人物へと作り上げてしまうのである。
つまり、大半の子育ては失敗するのである。正しい心を持つ親だけが、子を正しく育てることが出来る。
時に厳しく時に優しく、一精懸命の親の姿を見せ、嘘のない生活を見せてあげることである。
だから片親だけが立派でも、うまくいかない。
特に、母親の影響力は絶大である為、母親に著しい問題があると、父親が優秀でも、その子には問題が生じる。
両親共に立派でなければ、子が真に立派になるのは難しい。さて、いま時の親が一様に為すのは、子の巣立ちの邪魔である。
親が、子離れ出来ないのである。
特に、母親にその傾向があるから注意を要する。だから、あなたがやるべき事は、親は親で、明日に向かって、日々まじめに働き、一日一日を幸せに暮らしている姿を見せることである。
そして、子に干渉せぬこと。
巣立った後は、自由に任せることだ。
一言、「大きな視野で生きなさい」と伝えればよい。