管長の修行問答

2009.07.10

香りと臭い

四季の香りや様々なにおいの意味は

四季の香りを感ずるとうれしくなります。感じる香りは神様のプレゼントのように思いますが、何を伝えて下さろうとなさっていらっしゃるのでしょうか。お香、お花、お料理、トイレ等の「におい」が有るのですが、どうしてでしょうか。(事務職 20代)

霊的に高い人というのは良い香りを放っているものなり

先ず述べておきたいのは、「におい」というのは、霊的に非常に重要な要因であるということである。
霊的に高いということは、いい香りを伴なうということであり、霊的に低いということは、イヤな臭いを伴なうということである。

「におい」に敏感な人と鈍感な人がいるが、鈍感な人に霊的に高い人はいないと言っても過言ではない。
敏感な人が必ずしも高い訳ではないが、臭いをよく嗅ぎ分けられることは、重要である。

というと、では犬の方が人間より霊的に上かということになるが、そういうことではない。
彼らは、ウンチの臭いが大好きである。
鼻がきくからといって、それだけで善とは言えないのである。

高貴な香りを好む人は、高い気を放っている人である。
しかし、香水大好き人間は山といるが、本当によい香りをさせている人は、少ないものだ。
彼らの心が美しくないために、美しい香りに思い到ることが出来ないのである。

それほどに、香りは大切だ。
心して「におい」と関わらなければいけない。
それ故、綺麗好きの方が、そうでない人間よりも、霊的に高い傾向を示す。
同様に、音に敏感か否かも然りである。
大きな音に鈍感な人は、高い霊性とは関係ない人が多い。
なお、「霊的におい」は、これらとは別の所から香ってくる。

さて、四季とは、優れた民族に与えられた感性である。
年中暑いだけの南国、寒いだけの北国からは、豊かな感性は生まれない。
これは輪廻の象徴であり、侘びなる世界を理解する上で、重要な現象である。
四季折々に心癒され、また深き哲理へと到るのである。

色々な「におい」があるのは、豊かさの為である。
眼耳鼻舌身意の六根を通して、人は生きている。
その一切を通して世界を理解し、また、それ故に迷うのである。
この六根の束縛から逃れることこそが、仏道の指し示す所であって、我らが修めるべき霊の在りようということが出来る。

所詮は、「におい」は「におい」、香りは香りだ。
自然の営みの一つに過ぎない。
種を保存する為に香りを放ち、危険を知らせる為の「におい」だったりもする。
性フェロモンでもあり、季節を知らせるものだったりもする。
それ以上のものではない。

しかし、既述の通り、霊的高低を判断する上で、重要な事でもある。
良い香りを嗅ぎ、また放つよう心掛けねばならない。
特に神棚のある部屋は、良い香りが必要である。
あなたの身体もいい香りがするべきである。
口臭などもってのほかである。

だからと言って、ろくに働きもせず、いつも綺麗にしていて、いい香りを放っている人より、汗臭さを伴なう肉体労働者の方が、霊的に低いということでは全くないから、誤解してはならない。