管長の修行問答

2008.08.03

四季

転生輪廻を示せし事象なり

冬の厳しい寒さは、私達日本人の意識とどういう関係があるのでしょうか。また、神様は何を教えて下さっているのでしょうか。

春夏秋冬のある国は幸せだと言われる。
それは、その季節の移り変わりを通して、世の無常を覚らされるからである。

春の芽吹きは人生のスタートを意味し、夏はその盛りであり、良くも悪くも旺盛な気に支配されている。
だが、同時にそこには秋への転換(低下)の気も宿っている。

そして、秋。収穫のときである。
一年の喜びであり、心静まるときでもある。
大男ですら物想いに耽る秋(とき)となる。

そして厳しい冬が訪れてくれることになる。
食糧が得難くなるときだ。
寒さは時に人の命までも奪っていく。
その厳しさが、人生に対する心構えを教えてくれるのである。
地域によっては、絶望的なほどの孤独が支配することになる。

しかし、人々は決して忘れることがない。次に春がくることを。
冬の厳しさは春の喜びを導いてくれるものだ。
人生を示すものでもある。
この四季を通して、人は輪廻を無意識下に宿らすことになる。それ故に、求道も始まるのである。