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2024.06.10

vol.688 清らかに生まれ変わらん

6月も半ばになりました。今年も、あっという間に折り返し地点ですね。

一年に二回の古来からの神事、夏越しの祓いのために、本部会館の神棚の前には、立派な「茅の輪」が完成しました。館内には、ふわーっと茅(かや)のいい香り! 青々と茂る葉から、エネルギーがいっぱい溢れているようです。

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古の昔、夏越しの祓いと、大晦日に行なわれる年越しの祓いの二つの「大祓」で、私たちの先祖は、国の安寧を祈ってきました。穢れを祓い清め清浄になるということを、大切に執り行なってきました。

「祓い」は、有名な「国生み神話」で、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が、亡くなった妻・伊邪那美命(いざなみのみこと)を連れ戻そうと黄泉の国へ行かれたものの、果たせず、戻られた後に穢れた身を洗い清められたことが起源だと伝わります。伊邪那岐命が身を清められると、そこから天照大御神(あまてらすおおみかみ)など三貴神や多くの神々が誕生されました。

茅の輪の起源は古く、『備後国風土記』に出てきます。風土記は、奈良時代初期に作られた各地方の古い伝承を集めた書物です。

それによれば、北の海の武塔神(むとうしん)が南の海にいる神の娘を妻にしようと出発し、ある場所で日が暮れたので宿を求めたところ、裕福な弟は断り、貧しい暮らしをしていた兄の蘇民将来は快く宿を貸して、粟殻の座布団と栗の飯で歓待しました。

何年か南の海で過ごした後、武塔神は八人の御子神を連れて蘇民将来の家に立ち寄り、自分を歓待した蘇民将来の家族には茅で作った輪を腰に着けさせ、これを着けた者を除いて、他の全員を殺し滅ぼしてしまったというものです。

この武塔神は須佐之男神(すさのおのかみ)とも言われており、今後、悪い流行病があった時は、蘇民将来の子孫として茅の輪を腰に着けている者は病気から逃れることができると言った、というお話です。この神話にあやかって、疫病の流行りやすいこの時期に、茅の輪をくぐったり、小さな茅の輪を身に着けたりするようになったということです。「蘇民将来の子孫者」と書かれた8世紀末頃の木簡も発見されているそうです。

本会の茅の輪作りも、今年で早11年目となりました。古式ゆかしく、茅とりから茅の輪づくりまで、すべて天然の素材だけを使って、有志の手で心を込めて作られています。

夏越しの祓い本番は、茅の輪の完成から1週間後なので、本番に美しく参加者を迎えられるように、神経を集中しながら皆で協力して作っています、この一連のすべてが神事だと思っています、と山内神職は話されていました。

毎年、本部会館を訪れた会員の皆様が青々とした茅の輪をくぐられるたび、「新しく命を頂く気がする」「今年後半の力を貰いました」と目を輝かせて語っていらっしゃいます。

茅の輪の近くに立つと、茅の香りとともに、まっすぐに伸びる茅の生命力を頂き、心身が浄化され、生き生きとよみがえるようです。

背丈より高く真っ直ぐに伸びた茅のうち、綺麗なものを選別して、乾燥しないように丁寧に運びます

今日のPHOTO

茅取りの風景です。茅(かや)の生命力が伝わるでしょうか!

沖縄地方に続いて、九州南部と四国が梅雨入りしたそうです。今年は梅雨入りが遅れているそうです。大雨に備えつつ、快適に過ごせるように工夫していきたいですね。今週も、笑顔で進んでいきましょう!