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黒猫には特別な思いがあって、黒猫の写真や動画やイラストに、どうしても目が行ってしまいます。
小さな黒い子猫が道端で、大きな野良猫たちに囲まれて震えていたのを見かけたと家族の話を聞いてから、しばらくして、その子猫が我が家を訪れるようになりました。よし、強い猫になるようにと、しっかり餌を食べさせるようになって、いつしか筋骨隆々の立派な黒猫に育ち、抱くとずっしりと重くて、甘えてくると、その爪が痛かったのをよく覚えています。朝、胸が重くて目覚めると、布団の上にドーンと乗っかって、こちらを見下ろしているなんて日も数々ありました。

何年かを一緒に過ごした後、長く見かけない日が続いたある日、弱弱しくなった黒猫が玄関に戻ってきて、それから看病が始まりました。西洋医にも東洋医にも連れていき、体力が無くなっていくなか子猫のように猫ミルクも飲ませました。もう本当にお別れが近くなった日、悲しくて悲しくて涙が止まらなくなった時、黒猫は歩けなくなった後ろ足を引きずり傍にきて、私の腕をペロペロと、まるで慰めるように舐めました。マスカット色の澄んだ美しい目の色をしていました。その翌朝、小雨の中、猫は逝きました。

後日談があって、実はその猫は近所のお茶の先生の家の猫だったことを知りました。なんでも顔が大きすぎて、他の飼い猫たちは通り抜けられる猫用の扉を通れず、外にいることが多かった、のだとか。

楽しい思い出もたくさんですが、あの日のことを思い出せばそのたびに涙・・・です。気がつけば今涙を拭いたハンカチも黒猫柄でした。きっと同じ気持ちの飼い主さんたちも沢山いらっしゃるのではないでしょうか。