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2025.09.01

vol.753 袋詰めマスター

昼間の猛暑はなかなか去りませんが、夜に聴こえてくる虫の音に季節の移り変わりを知らされます。四季のうつろいは、ある意味われわれの故郷の感覚と結びついているかもしれませんね。もう少しすれば秋の風が感じられるでしょうか。

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夜のコンビニの駐車場に降りると、周囲から鈴虫やコオロギの鳴き声が一斉に聴こえてきました。帰りが遅くなった日、もう近隣のスーパーはしまっているので、買い物が必要だと、だいたいここに立ち寄ります。

このコンビニ、少し特徴があって駄菓子コーナーが充実しています。そのなかには近年開発された商品もたくさんありますが50年以上定番のお菓子も、ちらほら目について、こどもの頃の駄菓子屋を思い出します。きっと昼間は子供連れの客が来るのでしょう。

そのコーナーを通りすぎ、冷凍の野菜やら何やら必要なものを購入。そしてレジに並びますが、その次の行程が、実はひそかな楽しみとなっています。

それは、夜のレジ係の「技」。これを観るのが楽しみなのです。

この白髪まじりの男性は、だいたい夜にはレジにいます。そしてレジ打ち(今はバーコードですが)をしつつ、袋詰めをするのですが、その袋詰めが普通ではない。

先ず、ひと周り小さな袋を選び、そして底面を決める品物を入れる。更にピシピシピシっと商品を隙間なく詰めていって、決して収まらないだろうと思われた品物を、時に上下の観念を超えて見事におさめ、結果、一つ一つの品物が決して傷つかず、無駄なく入っている。

精算し、袋を手にして「おお~~っ!」と心の中に感嘆の声が上がります。揺れがなく持ちやすくもある。同行していた家族とは、この人は毎回挑戦しているんだねと話します。

彼のことを、われわれは敬意をこめて「袋詰めマスター」と呼んでいます。

無口で、ある種、仏頂面ともいえるこの人の技を、この人にとって当たり前の日常の一葉を、こんなに喜んでいる人間たちがいることを彼は知らないことでしょう。

どんな日常を、どんな人生を送っているんだろうななど思いながら、毎回コンビニを後にします。

今日のPHOTO

和歌山・水無月響さんから清涼感あふれる写真を沢山頂きました。

「近くの神社で毎年恒例の風鈴祭りがおこなわれていました。屋台の木組みにつるされた風鈴は600個ほどあるそうです。異常な暑さの中ですが、風鈴の音色やガラスの質感、模様など、その涼やかな風情に安堵するひと時でした。」

9月に入りました。暑いといっても、そろそろ終わりが見えてきた今年の猛暑。夏の疲れを上手に解消して、お元気でいらしてくださいね。