心身浄め歳神を迎える

新年に向けての準備は歳神様を迎える大切な行事でもあります。

厄落としとしての煤払い

大掃除は、住空間ひいては自分自身の みそ ぎといえます。十二月十三日に行なわれる 煤払 すすはら いは、江戸城の年中行事が江戸市中にも伝わり行なわれるようになったそうです。

また、江戸時代の商家では、主人から奉公人が総出で一日かけ煤払いを行なったあと、使用人に御馳走を振る舞い一年の無事を感謝し、最後は家の主人を胴上げをすることもあったそうです。現在はお祝いの意味で行なうことが多い胴上げですが、胴上げにより主人が背負っている家の災厄が払い落とされると考えたとのことです。

家庭内での大掃除の順序は、まず神棚を掃除し、それから台所をはじめ各部屋を掃除します。

歳神様の依り代の門松

正月飾りの門松、鏡餅、注連飾りには、縁起が良いとされる物が使われています。「 言霊 ことだま 」となって家族をお守り下さいという切なる願いが感じられます。

古代より、日本人は神様に御光臨して頂く際、目印として神聖な木を立て しろ としました。常設の神社が創建されるまで、神事は依り代を立て野外で行なわれていました。

門松

門松の由来:新年に家に来て頂く歳神様の依り代として、門前に立てる。平安時代からの風習。

松:常に緑の葉をつけている松は長寿と繁栄の象徴。
竹:なかなか折れず、毎年同じ様に成長することから生命力の象徴とされる。また色の変化がないため、長寿も意味する。
梅:つぼみの硬さから「節操がある」、種の繁殖力の強さから「子々孫々繁栄する」という意味合いを持つ。

門松も歳神様の依り代として立てられるものです。家の門に立てるのは単なる飾りではなく、門が神々が集まる場所と考えられていたためです。歴史は古く、平安時代末期にはすでに貴族の家の門前に飾られていたと伝えられています。

当初は長寿の象徴であり、「神を待つ」という意味も込められた松で作られていましたが、鎌倉時代末頃から室町時代にかけて、力強い生命力を表わす竹が加わり、江戸時代になると松と同じく繁栄や長寿の象徴とされた梅も加わりました。

なお竹が斜めに切られているデザインは、徳川将軍家の門松にならったものといわれています。

かつて松平家(徳川家康の旧姓)では、敵対関係にあった武田家を竹とみなし、これを一刀両断して松(松平家)で取り囲んだ門松を作り気勢を上げたと伝えられており、江戸時代に入ってからも続けられたとのことです。

やはりお正月特有の華やかな飾りがあるお宅には、歳神様が福を持ってきて下さるような気がします。