参拝の心得

富士山からの初日の出

富士山からの初日の出

あけましておめでとうございます。新しい年の始まりです。

お正月には、「 歳神様 としがみさま をお迎えする」という習わしがあります。

「歳神様」は、お正月に家に訪れ、その年一年私たちを守って下さる神様と考えられており、そのために年末に大掃除をします。

さらに地域の守り神、 氏神 うじがみ や崇敬している神社に初詣(はつもうで)される方も多いことでしょう。

初詣

歳神は、門松を立てて大晦日の夜に身体を清め身を慎んで( 忌籠 いみこも り)、お迎えします。この風習が初詣の原型と考えられています。

大晦日の夜から神社へ参詣し除夜の鐘を聞いてから再び参拝をすることを「二年参り」と呼びますが、この名残りとのことです。参詣の道中は厳粛な忌籠りの最中であるため、決して他人と口をきいてはならないとされ、うっかり言葉を交わしてしまったときは、もう一度帰宅して身を清めたということです。

歳神が訪れる方位を「明けの方」といいます。江戸時代に作られた暦には、どの方位がそれに当たるのか記されていて、人々はこれを参考にして、恵方の方角の神社にこぞって参詣しました。

参拝の仕方

お正月の神社は、参拝の人々で大賑わいですが、神社で清々しく参拝できる作法についておさらいしてみましょう。

神社の入り口には 鳥居 とりい があります。ここから先は清らかな場所であるということを示すものですから、一礼して先に進みましょう。

お社までの道を 参道 さんどう と呼びます。参道の中央は神様の通り道と考えられ、真ん中ははずして歩くといいでしょう。

拝殿に近づくと、 手水舎 てみずや があります。ここで手と口をすすぎ、清めます。 柄杓 ひしゃく を取る前に、拍手を一つします。挨拶のようなものです。

次に柄杓を右手で持ち水をくんで、左手にかけます。左手に柄杓を持ち替え、右手に水をかけます。

また、右手に柄杓を持ち直し、左手に水を受けて口を清めます。

もう一度、水をくみ、左手に少し水をかけてゆすぎ、柄杓を立てるようにして残った水で柄杓自身を清め、元の場所に戻します。

手水舎

神社にある手水舎
手水は「禊」、身を清めてから参拝する

正式参拝

本殿に上がって参拝することを正式参拝と呼びます。

大麻

紙で作られた 大麻 おおぬさ という祓え具
神職が祝詞を奏上する前に、参拝者をお祓いする

そこでは、 祓戸 はらえど と呼ぶ正面の神前から少し横の場所で、神職が 祓言 はらえことば を奏上します。次いで、 さかき の枝や棒状の木に麻や 紙垂 しで をつけた 大麻 おおぬさ という はら を持って参拝者の方に近づき、祓え具を左・右・左と振りお清めのお祓いをします。

その後、神職が 祝詞 のりと を奏上した後、参拝者それぞれに神職から 玉串 たまぐし (榊の枝)を渡されます。会釈して受け取り、右手で根元をもち左手で枝や葉の方を支えて、神前に進み一礼します。いったん持った玉串の根元を両手で持ち、右に回し根元を神前側に、 あん (神道用机)の上に捧げます。

次に、二拝・二拍手・一拝を行ないます。拍手が敬意をしめすことは世界中同じですが、それが祭式の作法に取り入れられたのは、世界でも珍しく、日本古来の挨拶の仕方です。

願解き

神社で、例えば合格祈願などお願い事をしたとしましょう。もしその願いが叶ったなら、その成就のお礼の参拝をするといいでしょう。

昔は大きなお願いの場合、 奉賽 ほうさい といって、鳥居・玉垣・狛犬などを奉納して感謝の気持ちを表わしました。それらに、年号や奉納者の名前が記されているものもあります。